2026年10月(大阪)クリニック経営COREセミナーレポート

時間は増やせない。でも、使い方は変えられる。

2026年10月4日(日)、大阪にてMAF クリニック経営セミナー(COREステージ)を開催しました。今回のテーマは「時間管理」。院長が診療以外の時間をどう生み出し、何に使うのか。ゲスト講演・ディスカッション・実践報告を通じて、クリニック経営の本質に迫る一日となりました。

冒頭のアイスブレイクでは「もし1日が25時間あったら、その1時間を何に使うか」というテーマでディスカッションが行い、「読書」「AIの勉強」「スタッフとの対話」などの声が上がりました。権限移譲や仕組み化で時間を生み出すことへの意識を高めるきっかけとして、参加者それぞれが「今の時間の使い方」と向き合う場面となりました。

院長がやめるべき仕事

時間管理の第一歩として取り上げられたのが、「院長業務と雑務の仕分け」です。院長の強みは診察・意思決定・組織の方向性を示すことであり、電話対応・調べ物・各種手続きといった非コア業務を手放すことが、時間創出の入口になります。ディスカッションでは、WEB問診と重複していた紙の問診票をスタッフ発案で廃止した事例など、「何のためにやっているのか」を問い直すことで生まれた改善の実例が各テーブルから共有されました。

また「業務廃棄」という概念も紹介がありました。効率化の前にまず「やめる」。院長の年収の約1割を秘書や外部サービスへの委任費用に充てることで、意思決定に使える時間が生まれるという試算は、参加者に改めて院長自身の時間単価を意識させるものでした。年間の重要タスクを3つに絞り、右腕となるスタッフに任せることで完遂率を高める「三大タスク」の考え方も、クリニック経営にすぐ活かせる視点として共有しました。

院長の時間をつくる「ティッピングポイント」とは

梅岡より、クリニック経営における時間管理の本質をお伝えしました。「意思決定が8割、プレイヤーが2割になった時、院長の時間は劇的に生まれる」これがティッピングポイントであり、その転換を起こす最大の鍵は医師の採用だと言います。院長が診療の現場から一歩引き、経営の意思決定に集中できる体制をつくることが、組織全体のギアを変えると伝えました。

また「アインシュタインに電話番をさせてはいけない」というリカードの比較優位の原則も紹介されました。院長の強みは診察であり、それ以外の業務は可能な限り手放す。この感覚を持てるかどうかが、時間をつくれる院長とそうでない院長の分岐点です。さらに「院長の価値観に基づいて時間をブロックする」という実践も共有され、自分が本当に大切にしていることを先にカレンダーに入れることで、後から雑務に時間を奪われにくくなると伝えました。

20分プレゼンテーション〜孤独な開業5年目が気づいた、時間管理の本質〜

滋賀県草津市で皮膚科・美容皮膚科を経営する楠葉院長と、看護師リーダーの河村さんが登壇。楠葉先生は開業当初の3年間を「地雷を踏み続けた時期」と振り返ります。孤独な状況の中、売上を追いながらも理念がなく、スタッフとの対立や離職が続き、体にも慢性的な痛みが出るほど追い詰められていたと率直に語られました。

転機は「感謝・誠実・分かち愛」という理念を定めたこと。自分のためではなく、縁ある人のために貢献すると決めた瞬間から、肩の荷が下り、スタッフとの関係も自然と変わり始めたと言います。「エゴを超えて誰かのために生きると、逆説的に自分が使える時間が増えていく」この言葉は、時間管理の本質が効率化ではなく、生き方の軸にあることを示すものでした。河村さんからは、スタッフとして同じ学びを共有してきたことで「先生の孤独感が薄れ、悩みを相談できる関係になれた」という視点が語られ、院長とスタッフが同じ場で学び続けることの価値が改めて伝わりました。

ゲスト講演:越川慎司氏(株式会社クロスリバー代表)

815社・17万人以上の働き方データを分析してきた越川慎司氏が登壇しました。成果を出し続けるトップ5%に共通するのは「深いうなずき」「ベネフィット・ファースト」(依頼の冒頭に相手のメリットを伝えることで遵守率が11%→88%に向上)「グッド&モット」のフィードバック術など、明日からクリニックで使える具体的な行動習慣でした。

朝9時〜11時半のゴールデンタイムに重要な意思決定を配置すること、夜に頭のモヤモヤを紙に書き出す「ブレインダンプ」で翌朝の疲労感を31%減らすこと、AIを「手段」として使い、人間は構造化と判断に集中することなど時間と生産性に関わる実践的な知見が凝縮された講演となりました。働きがいの核は「承認・達成・自由」にあり、月15分の1対1対話の積み重ねがスタッフの心理的安全性とチームの成果を高めると締めくくられました。


<参加者の声>

山と空こどもアレルギークリニック
鈴木俊輔先生
早速、マネージャー候補に連絡してミーティングの時間を確保、時間管理をするための1歩を作りました。
越川さんのお話しもとてもおもしろかったです。

御所西ひらはらクリニック
平原直樹先生
講演、グループでの議論で周りの先生の実際にされている施策をお伺い教えてもらえたことが勉強になりました。

大西内科医院
大西規史先生
越川さんの講演が非常に良かったです。具体的にやりたいことがたくさん詰まっていましたし、グループの先生ともシェアしたく、時間が足りなくて、楽しくてあっという間に時間が過ぎました。復習しながら、実践していこうと思えました。

M.A.Fでは3ヶ月に1度、クリニック経営セミナーを開催しています。
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