52.セミナーで学んだことを実践する「七つの習慣セミナー」⑤

■ Win-Winを考える

今までご紹介した私的成功のための第1から第3の習慣は、次にご紹介する公的成功を導くための基本ともなる3つの習慣と言えるでしょう。その最初の公的習慣は、第四の習慣「Win-Winを考える」です。
Win-Winは近頃では経営に関する話題の中によく出てくる言葉なので、皆さんも頻繁に耳にすると思います。
そのWin-Winは、クリニック経営の中では何を指すのでしょうか。
クリニックの利益ばかりでなく、来てくださる患者さんの幸せはもとより、そこで働くスタッフの幸せ、出入りする取引業者さんの利益、広くはクリニックのある地域の皆さんの幸せ、といったところではないでしょうか。
分かりやすい例を挙げるとすれば、取引業者さんに対して、この価格でなければ取引を中止するというような強権的・一方的に値引きをさせていたのでは、クリニックと取引業者さんの関係はWin-Winの関係には程遠いと言えます。医療機器などは一応定価(診療報酬)が公示されているものの、実際は大幅に値引きされるのが普通だと思います。そして、実際にはどのくらいの価格で販売されているかという情報は業界に出回っていますから、業者さんが我々に提示する価格が大幅に吊り上げられることはほとんどありません。強権的に値引き交渉をするよりも、ほどほどの価格で購入し、信頼関係を築き、故障などのトラブルの時にすぐに対応してもらう方が、クリニックにとっては有難いはずです。取引業者さんの協力のもと、良い医療をお待たせすることなく患者さんに提供していけば、結果的に多くの患者さんに来ていただくことになるでしょう。そうすれば次の医療機器の購入もあり得るわけですから、取引業者さんの売上高は伸びることになります。このような循環が、お互いがWin-Winになることと考えます。
ただし、コヴィー博士は「No Deal」取引しないという選択もあることを述べています。
成功のためには、トップはWin-WinとともにNo Dealという選択肢も頭の中に入れておかなければなりません。例えば、開業すると経験する飛び込み営業や広告看板など、それらが本当にクリニックにとって価値あるものか熟慮し、時にはNoという決断も必要です。

Win-Winを考える

■ 梅華会が大切にしているWin-Win

ところで、私が考える梅華会にとって最も大切なWin-Winは何かといえば、スタッフ全員が梅華会で働くことで幸せになること、その結果として患者さんの満足度がアップして、梅華会の経営も順調に進むことです。基本には、スタッフのWinがあり、それに対する私のWinは採用したスタッフがクリニックのミッション・ビジョン・バリューにコミットし、その達成に貢献してくれることです。
今までのコラムでもお分かりだと思いますが、梅華会のスタッフは、給料や有休といった待遇面だけでなく、ここで働くことで何をやりたいか、何を成し遂げたいか、という理念を持って入職しています。そういった理念を持った人材しか採用していないと言っても過言ではありません。スタッフの理念は人によって異なり、「常に患者さんに寄り添う」であったり、「リーダーとなって現場を支える」であったりします。また、同じスタッフでも経験を重ねるに従って自ずと理念も変わってくるでしょう。
そこで、梅華会では3ヵ月に1回、リーダーが各スタッフの悩みや希望の聞き取りを行っています。現場で極めたいと考えているのか、採用や教育といった業務に就きたいと思っているのか、企画や総務といった縁の下の力持ちになりたいと思っているのかなど、できるだけ聞き取った希望を叶えられるように調整を行っています。あるいは、動画を作成すると言った特技を持っているスタッフが、日常の業務と離れてチームをつくり、ホームページやイベントの動画づくりに貢献してくれたりもしています。毎日を楽しく働くには、自分がしたい業務に就くことが一番と考えるからです。
また、クリニックの多くがそうであるように、梅華会も女性が中心の職場です。結婚・出産が離職の原因となることを防ぐために、産休・育休制度の充実はもちろん、託児所の設立も成し遂げました。入園前の小さなお子さんはもちろん、病児保育もグループの事業として立ち上げたのです。この事業は梅華会のスタッフのみならず、働く地域のお母さんの手助けになればとも思っています。

梅華会のミッション「日本の未来を明るくする」ためにも、少子化が問題視される昨今、安心して次の世代を育てられる職場づくりは、私の当然の使命だと思っています。
お互いの幸せのために、これからも様々なWin-Winを実行していきます。

梅華会が大切にしているWin-Win

⇒次回は「53.セミナーで学んだことを実践する『七つの習慣セミナー』⑥」
※2018年に執筆したコラムに加筆修正をしたものですので、現在は取り組んでいない運営方法・研修・教育方法などもござます。

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