55.セミナーで学んだことを実践する『七つの習慣セミナー』⑧

■ 刃を砥ぐ

さて、人生成功のための七つの習慣の最後は、第七の習慣「刃を砥ぐ」です。
『七つの習慣』の中では木こりの話が引用されています。木こりが木を切るために、砥いでない刃のまま与えられた時間いっぱい苦労しながら木を切るのがいいか、あるいは、与えられた時間の8割で刃を砥いで、残りの2割の時間で楽に木を切るのがいいのか。という話です。当然後者の方が効率的ということになりますが、これは事前準備の重要さを物語っている話だと考えます。

実は、この事前準備の第七の習慣とは、①肉体、②精神、③知性、④社会・情緒、の人生の四つの側面をバランス良く磨くことで、今までの習慣の全てを支えているとも言っています。

  • 1. 肉体とは
    食事と休養と運動に取り組み、主体性を発揮できる高いエネルギーを手に入れること
  • 2. 精神とは
    揺るぎのない穏やかで明朗な心を持つこと
  • 3. 知性とは
    読書をはじめとして先人たちの知恵や知識や思考法を学び、適切なアウトプットによって知的能力をアップすること
  • 4. 社会・情緒とは
    社会における良好な人間関係を築くことで、情緒的な安定を得ること

対外的な安定は、情緒的な安定と深く結びついているからです。

刃を砥ぐ

■ 人生の四つの側面の磨き方:私と梅華会の事例

①の食事と休養と運動について見てみると、私自身が生活習慣を見直すことにした直接の原因は、食生活の乱れや運動不足で体重が増加、いわゆる生活習慣病に足を踏み入れたことです。かつては野球、テニスに汗を流し、医師として人々の健康を預かっている自分が、「こんなことではいけない」と思い、食生活を見直し、ランニングを始めました。
実は運動習慣があった若い頃もランニングは大嫌いだったのですが、皆さんご存知のとおり今では趣味となって、ウルトラマラソンやアイアンマンレースに挑戦するほどになってしまいました。食事面では、大好きだったジャンクフードはめったに口にすることはなくなり、野菜中心にし、野菜ソムリエの資格も取得したほどです。定期的にファスティングも取り入れています。
休養に関しては、私は睡眠を取らないと頭が回らなくなる体質なので、睡眠時間はしっかり確保しています。そして、午後の昼休みには昼寝をするようにしています。ほんの10分、15分の睡眠でも体の細胞の一つひとつが再生したようなすっきり感が得られ、午後の活動が充実するのを感じます。食生活や運動習慣は人それぞれ、私のやり方がベストという訳ではありませんが、昼寝の習慣は皆さんにお勧めしたいと思います。

そして、生活習慣の見直しは②の「揺るぎのない穏やかで明朗な心を持つこと」に繋がります。
人々の心身の健康を預かるドクターは、まず自身の心身が健康でなければなりません。

次に③の知性ですが、自身が成長して何かしら社会貢献するためにも、組織を成功に導くためにも、自分を磨くことがとても重要だと考えます。
組織の能力はトップの能力以上にはならないという話もある位です。これは第七の習慣の刃を砥ぐことを一番分かりやすく表していると思います。そして、、自分の能力を高める為には外に出て自分自身の足らないところを知ることが大事です。
クリニックの院長に収まってしまうと、アドバイスをもらう事や、忠告してくれる人がいなくなってしまうことが多いのではないでしょうか。
習慣とされているドクターも多い「読書」も、刃を研ぐ行為の一つに当たると思いますが、私は一歩進んで外に出る、先達のセミナーや講演会に参加することをお勧めしたいと思うのです。その中でメンターとも呼べる講師と出会うことが自身の刃を砥ぐことに繋がりますし、そこでの出会いが財産となります。

自分の年収は周りにいる仲の良い友人8人の平均年収と同じだという話もありますが、これは何も年収に限らず能力もしかりと思うのです。そのため、どれだけ自分の周りに志高い人を置いておけるか、能力の高い人を置いておけるか、目指すような人と出会えるか。これこそ己の刃を砥ぐことに繋がるのではないでしょうか。

肉体、精神、知性、社会・情緒

④の社会・情緒、対外的な安定を図ることについては、自分が志高い人と交わることと共に、クリニックのスタッフにも刃を砥ぐことを求めています。
院長である私が一人だけ刃を砥いだところで、組織の力は少ししかアップしないのではないでしょうか。患者さんと日々接するスタッフが刃を砥ぐことでクリニック全体の力がアップすると思うのです。
そこで、梅華会では、スタッフには年に4冊の課題図書を選んで、感想文を書くことを義務付けています。

課題図書の選定はリーダーに任せています。『夢をかなえるゾウ』シリーズや、福島正信氏、喜多川泰氏などによる物語仕立てで読書経験の浅いスタッフにも読みやすい図書が選ばれているようです。外部講師による講演会が企画されている時期には、その講師が著した図書が選ばれることもあります。この課題図書のほか、クリニック内に自由に本を読めるライブラリーを設置し、芸能人が書いた啓発本など気軽に読める図書が置いてあります。日頃の読書習慣が少ない若いスタッフに、読書を習慣にして欲しいという私の願いもそこにはあります。
私自身のために参加した七つの習慣セミナーを、法人の人材教育としても採り入れるようになりました。そのことは、現在梅華会が順調に発展していることに大いに貢献していると確信しています。

⇒次回は「56.ドクターのキャリア」
※2018年に執筆したコラムに加筆修正をしたものですので、現在は取り組んでいない運営方法・研修・教育方法などもござます。

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