49. セミナーで学んだことを実践する『七つの習慣セミナー』②

前回書いたように、『七つの習慣』という本は私に大きな影響を与えました。現在の私があるのはこの本のおかげと言っても過言ではありません。
スティーブン・R・コヴィー博士が著し、世界的に何千万部と売れた有名な本です。読んだときのあまりの衝撃に、私はその学びを一層深めるため3日間の集中セミナーに参加しました。
今回はその中で言われている第一の習慣「主体的である」について、どのようにクリニック運営で取り入れたのかをお話ししようと思います。

■ スタッフ一人ひとりが主体的に

梅華会が成功するためにはどうしたらよいのか。
トップである私が主体的に物事を考え実行するのは当たり前です。そして、ドクターにとって主体的であることは得意分野、これまでも当然のように主体的に行動してきました。そのため、クリニックをオープンした当初は、クリニックで何か問題や課題が出た時には、すべて私が一人で方策を考え、スタッフに指示を出して解決していました。トップである私がすべてを考えれば、当然物事に一貫性が担保され、一応は課題を克服し、問題解決を図ることができます。しかし、コヴィー博士が唱える「主体的である」は、果たしてトップである私に対してのみ言っているのでしょうか?
それを考えたとき、私が与えた指示の一つひとつの意味や意義をスタッフたちが理解しないで単に指示通りに行動していたのであれば、コヴィー博士からの学びは活用できていないことに気づきました。スタッフ一人ひとりが主体的でなければ、チームとしての主体性はなく、組織の発展や、成功はできないと考えたのです。つまり、第一の習慣をスタッフ一人ひとりに根付かせる必要性を感じたのです。そうするにはどうすればいいのか、スタッフの主体性を奪っているものは何なのか……考えた末行きついた結論は、スタッフが考える時間や機会を奪わないように、トップである私が口を出さないでじっと見守る忍耐力を持つことでした。

スタッフ一人ひとりが主体的に

■ スタッフの主体性を育むには

ある時期、分院の一つで初診の患者さんへの健康保険証の返し忘れが続いたことがありました。
その件について、チーム全体で話し合う機会を設けた時のことです。私は患者さんに連絡して取りに来てもらえばいいと簡単に考えていました。しかしスタッフから出た意見は、返し忘れた健康保険証を患者さんの家に届けるというものでした。その時、「日頃患者さんの立場に立って仕事をしましょう」とスタッフに伝えていた私は、ハッとしました。物事を的確に正しく見る目は、何もトップの私だけが持っている訳ではないのです。
また、再発予防のために健康保険証を入れるポケットのついた、診察カード、カルテ、検査の指示書などを一つにまとめられるクリアファイルを特注することを考えました。これを提案したのもスタッフたちです。
患者さんと一緒にこのファイルを回していくことで、健康保険証の返し忘れがなくなりました。さらに受付から検査、診療、会計の流れがスムーズになり、非常に有効な解決策であったと思います。ちなみに、このクリアファイル製作の発注先の選定、発注金額、製作ロットの交渉なども全てスタッフたちが行いました。この成功体験を得てから、スタッフたちは自信を持って主体的に行動できるようになったと感じています。不安を抑えてすべてをスタッフに任せた効果が現れたのです。

第1の習慣「主体的である」とは、組織に属する一人ひとりが主体性を発揮することであり、トップである私がその機会をそぐことがあってはならないと強く思います。たとえ新人スタッフであっても、その目が捉えたものごとは真実を語っている場合もあります。
ルーチンワーク的に行っている業務が果たして本当に必要かどうかなど、新しく入ってきたスタッフの視点により、従来の業務の効率化が図れる場合も少なくありません。新人スタッフにとっては、どうしても私はけむたい存在となるため、ミーティングでは、私はできるだけ発言せず、スタッフもベテラン、新人に関わらず、全員が意見を出せる環境を生み出すことに努めています。

スタッフの主体性を育むには

■ 各人の主体性が組織を発展させる

このような積み重ねで、私の法人は部署ごとに、個人ごとに、主体性を持って動ける組織となりました。
組織に属する一人ひとりが主体的に動けることの相乗効果で、法人も組織としてより発展してきています。そして何より、私は開業当初はワンマン経営者でした。ところが昨今、現場で日々発生する大小様々なトラブルを気にすることなく、診察室の外で医師として経営者として、私人としてやらなければならないことを心地良く集中して行えるようになりました。つまり、梅華会としても、梅岡比俊としても、第一の私的成功を手に入れつつあるのです。
スタッフが主体的に動くクリニックはどんなものなのか、興味をお持ちの方はぜひ見学に来てください。

お申し込みはこちらから医院見学 梅華会グループ

「私的成功」を達成する習慣

⇒次回は「50.セミナーで学んだことを実践する『七つの習慣セミナー』③」
※2018年に執筆したコラムに加筆修正をしたものですので、現在は取り組んでいない運営方法・研修・教育方法などもござます。

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