38. クリニックに相応しいスタッフになってもらうために②

スタッフのマネジメントについて、2回目の今日はクリニックの理念をスタッフに浸透させるために用いているツール『梅華通信』をご紹介したいと思います。
私のクリニックは2008年に院長である私とパートスタッフ7名でスタートしました。お陰様で運営は順調に進み、スタッフの数も徐々に増えていきました。同時に、直接接する機会の少ないスタッフも増え、私の望んでいるクリニック像や理念・信条などを伝え、共有していただくことが難しくなりました。そのため、入職後に私の想いを受け入れられず退職するスタッフが出てくるようになりました。

■ ヨリタ歯科クリニックのスタッフミーティング

このような状況の中、私が尊敬する歯科医師・寄田幸司先生が運営する「ヨリタ歯科クリニック」のスタッフミーティングに立ち合う機会をいただきました。
話は少しズレますが、私が開業準備期間に経営者としての学びの場のひとつとして参加したセミナーの講師が、寄田先生でした。この時、医科の経営に関するセミナーで勉強しようと思い、色々セミナーを探してみましたが、医師によるセミナーはなかなか見当たらず、歯科医師によるセミナーとして目に留まったのが寄田先生のセミナーでした。歯科業界は過当競争で医師業界より経営が大変だという漠然としたイメージを持っていましたが、医療を提供する点では医科も歯科も同じなのではないかと考え、参加を決めました。

このセミナーでは言葉で表せないくらい多くの教えをいただきました。
その中で一番衝撃を受けたのが、予防医療という概念です。今でこそ予防医療は一般的になりましたが、当時は病気になってから医者にかかる時代で、この概念は本当に新鮮に感じました。
患者さんにカウンセリングや説明を尽くして納得してもらい“予防のために”定期的に通院しケアしていく仕組みを作る。実際に、寄田先生のクリニックでは、そのためのカウンセリングルームが設置されているというお話でした。
この衝撃が、その後開業した私のクリニックにカウンセリングルームを設けたきっかけとなりました。このカウンセリングルームは、現在、アフターカウンセリングという梅華会独自のサービスを患者さんに提供するためになくてはならない部屋となっていますが、開業当時は無駄なスペースになると忠告を受けたこともありました。

カウンセリングルーム

■ 「梅華通信」の誕生

話を戻しまして、寄田先生のクリニックで週1回行われているスタッフミーティングで、私は、再び大きな衝撃を受けました。ヨリタ歯科クリニックには毎号50部作成する通信誌があり、その中に「ヨリタイズム」というクリニックのフィロソフィーが掲載され、スタッフミーティングでは、スタッフのひとりがこのヨリタイムズを音読し、それについて皆でディスカッションをしていたのです。
その場に遭遇した私は「これだ!!」と思いました。良いと思ったら徹底的に真似をする!「帰ったらすぐに自分のフィロソフィーを紙に書いてまとめよう」と、即断しました。
私のクリニック、梅華会では50のフィロソフィーをスタッフみんなで共有し、その一つひとつの重要性をクリニックの状況と紐づけて考え話し合うことで、梅華会のミッションやビジョンの達成により近づけるのではないかと感じたのです。
こうして出来上がったのが『梅華通信』です。2013年1月から12月まで週1回・計50回、大切にしたい共通言語として私の想いをまとめました。これらは院長ブログとして、私のクリニックのホームページでもご覧いただけます。
そしてまた、この『梅華通信』は次回お話するクレド手帳にも綴られています。

私が大事だと思うテーマに沿って書き続けたことが、現在の梅華会の文化・風土に繋がっていると感じています。また、価値観を共有できるスタッフこそクリニックに相応しく、院長とスタッフの考えや行動がぶれないことが、患者さんに高く評価いただけるクリニックになると確信しています。

梅華通信

⇒次回は「39.クリニックに相応しいスタッフになってもらうために③」
※2018年に執筆したコラムに加筆修正をしたものですので、現在は取り組んでいない運営方法・研修・教育方法などもござます。

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