■ 次年度の目標設定
梅華会では毎年、幹部が集まって翌年の目標や達成のための計画を設定します。
この目標には、当然、大前提として梅華会のミッション・ビジョン・バリューがあり、その達成のために行う次の1年間の目標と実行のための計画を決めています。
年始めにその年の目標を設定すること自体は、皆さんも、また小学生でも比較的多くの方が行っていると思います。ただし達成のための計画を立てることをしないで、成り行き任せになっていることが多いように思います。それでは目標の達成はおぼつかないので、そのための計画をきめ細かく詰める必要があると私は考えます。
■ 目標設定は成功のマスター技術
梅華会では、幹部会で決定された目標と計画は全スタッフに公表されます。
公表した目標と計画に向かってスタッフ一丸となって行動するため、スタッフには、なぜそうしなければならないのかということも含めてきっちりと説明し、一人ひとりにしっかりと浸透させています。そして、トップである私は有言実行、皆の手本となるべく率先して動き出します。
世界でも1.2を争う経営コンサルタントのブライアン・トレーシーは、「目標設定は成功のマスター技術である」と言っています。法人、クリニックとして発展、成功するためには組織としての目標設定は不可欠なものであり、院長はトップとしてそれをしっかりと実行していくことが大事なのです。
また、梅華会では法人としてのみならず、スタッフ一人ひとりが個人としての目標も設定します。そして、年に1回、スタッフが集まって自らが定めた目標と現在までの達成度、進捗状況を発表し合っています。そうすることの目的は色々ありますが、自分で自分を見つめ直して、よりよくなるために何かをしようと決めることに大きな意義があります。仮に、上司から「○○さんは薬の名前を覚えるのが遅いようだから、新卒のスタッフが入職するまでに覚えるようにしてください」と一方的に押し付けられたらどうでしょう？
大切なのは自分にとって何がボトルネックになっているかを自分で考えて、自分で同意することではないでしょうか。そのことが、そのスタッフがそれ以外の場面でも主体性をもって仕事をすることに繋がると考えているからです。
■ 目標設定マインドは人生の宝
また、発表することのメリットは、その目標に対する自らの意識がより高くなることです。
そして、その目標を達成することの喜びを感じれば、次年度はまたより高い目標設定をします。こうして身についた目標設定マインドは、今後の人生において公私ともに大きな技術となるに違いありません。さらに、目標を発表するとその手前、頑張って達成しようという気持ちにもなりますし、皆も頑張っているのだから自分もしっかりやろうという気持ちにもなります。
このように目標設定を発表すると、それを知った周りのスタッフがお互いの目標達成を応援し、支え合うことでチーム力の向上にも繋がるように思います。1年間の中では、ややもすると怠けてしまって進捗に遅れが生じたり、自分の心が折れそうになったりすることも少なくありません。その時に周りのスタッフの支えが大きな力となることは、実証済みです。
■ 目標設定が導く自分らしい人生
もちろん、スタッフの目標は、梅華会のミッション・ビジョン・バリューにも、梅華会の中長期計画にも繋がる内容にするようお願いしています。このような目標設定会を何年も続けていったおかげで、数年前は抽象的な目標設定が大部分だったのに、年を経るごとに洗練されて、具体的で期限も決まった明確な目標が設定されるようになりました。まさに私が目指すSMARTの法則（※に則った目標設定）ができるようになったのです。
私たちは幸福ということについて、お金だけではなく時間、人間関係、健康など様々な事柄に想いを巡らせています。ですから、個人的な目標設定は、仕事に関するものだけでなく、プライベートに関しても目標を設定し求める結果を明確にすることで、パワーが生まれ、自分が望む自分らしい人生を100％生きることができるのではないかと思っています。
※SMARTの法則→目標を行動にする効果的な方法
S（specific：具体的、わかりやすい）
M（measurable：測定可能、数字になっている）
A（agreed upon：同意して、達成可能である）
R（realistic：納得、現実的である）
T（timely：今やること、期限が明確）
の頭文字を取ったものです。
例えば「将来は患者さんを増やす」ではなく、「今年中に患者さんを2倍にする」のような目標です。
⇒次回は「26.仕事とプライベートの両立」
※2017年に執筆開始をしたコラムに加筆修正をしたものです。
開業医コミュニティM.A.Fではクリニック経営についての情報発信、セミナー開催など行っております。最新のM.A.Fからの情報を得るために無料のメールマガジンにご登録ください。