15. 広告媒体とマーケティング

■マーケティングはクリニック経営に必要?

世の中のビジネスは、マーケティングがうまくなければ約9割はとん挫すると言われています。
提供するサービスが医療とはいえ、クリニックだってビジネスなのですから、マーケティングが重要なことには変わりありません。というより、クリニック経営にもマーケティング、広告、宣伝は必須です。
少し前に開業前に行うこととして広告・宣伝についての私の考えをお話しましたが、今回はクリニックが発展するために重要な要素として具体的にお話ししたいと思います。

■オンラインの活用

開業したら、まず何が必要か…それは、お客さんである患者さんにクリニックの存在を知ってもらうことです。
いくら一流の医療技術を持っていても、その技術を提供するクリニックの存在を知ってもらわないことには話になりません。クリニックが圧倒的に足らない時代なら、開業して看板を出すだけで患者さんに来てもらえるでしょう。しかし、多くのクリニックが既に存在する現代、特に駅周辺現在では開業して看板を挙げただけでは患者さんは集まりません。その傾向は、大きな都市になればなるほど顕著だと言えます。
では、何が必要でしょうか…!
現代、私たちがお気に入りのレストランを見つける際、ネットで検索を行います。それと同じく、患者さんもどのクリニックに行こうかネットで検索する時代だと思います。ですから、クリニックのホームページで、自分のクリニックは何が提供できるか、患者さんが受診することによりどのような効果を得られるかをしっかり伝えることが重要です。自分のクリニックの強みや他のクリニックとの違い、どんな患者さんに来ていただきたいかをはっきりと分かるように標榜する必要があるのです。
梅華会のホームページは、御覧になっていただければ分かるように、ホームページ上にたくさんのコンテンツを用意し、その中から患者さんのニーズに合致するものを探してアクセスしてもらえるように作っています。私の専門の耳鼻咽喉科は、内科や外科に比べてニッチな分野であると認識しています。そしてその中でもさらにニッチな「外耳炎」や「めまい」をはじめとするいくつかの疾患について専門サイトを設けて詳しく解説しています。そんなニッチな病気に対して私たちは真摯に向き合い、患者さんに寄り添っているのですよ…という姿勢をアピールするよう工夫しています。

オンラインの活用

■SNS・ブログの活用

また最近では、SNS(フェイスブックなど)、ブログなどの媒体も比較的若い世代の患者さんに対しては効果があると考えます。私も開業当初からブログを活用しています。そのメリットに、自分の得た情報をアウトプットできるという点があります。インプットした情報をアウトプットすることが、自分の頭の中の整理にもなります。また、自分の1日、1カ月、半年の情報の棚卸にも繋がります。
ブログは、今自分が向かっている方向・しようとしていることが、自分の目指していること・したいと思っていることと合致しているかをチェックする意味でも有用なのです。さらに、アウトプットすると次の情報がインプットしやすくなるという情報頭脳の好循環が生まれることも見逃せません。ぜひ、皆さんにもブログを有効活用していただきたいです。

SNS・ブログの活用

■その他の広告媒体

この他の広告媒体としては建て看板やタウンページなどへの広告掲載などが考えられます。駅や交差点などに立てる看板も開業したてのころには効果的と言えるでしょう。例えば同じ駅の看板でも、北口・南口と複数の入場口があるなら、交通量や人の流れを把握して効果的な位置に設置することが非常に大切です。また、NTTタウンページでの広告ですが、家の固定電話だけに頼っているという方は非常に少なくなりました。
私のクリニックでとっている患者さんのアンケート結果を見ても、ご年配の患者さんなら一定の効果はあるでしょうが、費用対効果といった点ではこれから先もずっと行うべきかどうかははなはだ疑問です。

■口コミの強さ

さて、以上のように広告媒体はいくつかありますが、私は一番マーケティングに有効なのは口コミだと感じています。
梅華会でも初診の際に頂くアンケートを見てみると、ご親戚や友人・知人、はたまた学校の先生の口コミでいらっしゃる患者さんが多いことが分かります。そうしたご縁でいらした患者さんにしっかりとした医療の技術や価値を提供することで満足をいただき、そのことがまた口コミを通して新しい患者さんに繋がることが少なくありません。
受診してくださった患者さんにいかにご満足いただけるか…。医療技術と患者さんへの接遇が、一番の肝であることは言わずもがなです。

その他の広告媒体

⇒次回は「16.時間の管理」
※2017年に執筆開始をしたコラムに加筆修正をしたものです。

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