■ 目標設定会
以前、梅華会では前年末に幹部が集まって設定した新年の目標や計画を発表する「目標設定会」を開催するとお話ししました。その会では法人としての目標だけでなく、各スタッフも業務にあたる上での個人の目標設定を行い発表します。そして、個人の目標については年2回、スタッフが集まり設定した目標とその進捗状況をプレゼンします。
目標設定会の目的はいくつかありますが、大きなものを挙げると以下の2つです。
大人になると、プライベートで自発的に個人の目標設定をすることはあまりないと思います。あるいは、1年の初めに「今年はこんなことにチャレンジしよう」と心の中で誓っても、公表することはないのが普通ではないでしょうか。
私は自分の経験から、目標設定をした場合としない場合の差を嫌というほど知っており、その公表の効果もはっきりとわかっています。そこで、スタッフにも私のクリニックに相応しい向上心を持ったスタッフになってほしいので、一人ひとりに小さくてもいいので4つくらいの目標を作ってもらっています。目標設定会を初めて経験するスタッフにとっては、4つの目標を設定するのは大変なことかもしれませんが、スタッフたちは私が仕事とプライベート合わせて30の目標を設定・公表し、その実現のために行動していることを知っていますから、ブーイングは起こりません(笑)。
スタッフたちはリーダーのフォローを受けながら、1年間で達成する業務上の目標を各自で考えます。ここで大切なのは、自分に足りないものは何か、自分に欠けていることは何か、より向上するには何をすべきか、を自分で見つめて得心することです。これこそ、私のクリニックに相応しい主体性を持ったスタッフになるための一歩だと思っています。しかし、その目標があまりに簡単すぎると容易に達成できてしまいます。よって、人間力向上に有効ではないと思いますし、あまりに難しすぎると途中で放り出したくなってしまうでしょうから、“ちょっと頑張れば達成できる”くらいの目標を設定するよう、リーダーにうまく導いてもらっています。
■ 個人目標の公表
自分の目標を公表する、つまり目標設定会で皆の前で発表すると、「皆に発表したからには必ず達成しよう」という強い意志を持つことができます。また、「皆も頑張っているのだから私も負けずに頑張ろう」と考え、ちょっと上のハードルを乗り越える気力に繋がるのではないでしょうか。さらに、お互いの目標を知ることでお互いを応援し、助け合い、皆で目標を達成しようという気持ちが生まれ、チーム力の向上にも繋がると考えます。ひとり密かに目標を立てたのであれば、達成しようとするその過程では、ややもすると怠け心が顔を出して、進捗に遅れが生じ、挙句の果てには目標を達成することさえ諦めることになりかねません。皆に公表し、途中で進捗を報告し合うことで、自分を戒め、自分を後押しする力が湧いてくるのではないかと思います。現に、梅華会のスタッフたちはそのことを自ら体験し、その力の偉大さを知っています。
目標設定会を始めた頃は、抽象的な目標を立てるスタッフが多かったように記憶していますが、今では具体的で期限も定まった、かつ、梅華会のミッション・ビジョン・バリューや中長期計画に繋がるような目標を設定するスタッフも出てきました。
常日頃、目標設定は「SMARTの法則」(Specific=具体的、Measurable=数字で表す、Agreed upon=達成可能、Realistic=現実的、Timely=期限が明確)が重要であると唱えている私としては、このスタッフの成長は嬉しくもあり、有り難くもあり、この喜びこそトップに立つ者の醍醐味だとも感じています。
とはいえ、私たちの幸せは職場だけにあるのではありません。私たちの思考は、仕事ばかりでなく、家庭、人間関係、健康・・・その他いろいろなことに巡っています。目標設定会では仕事に関する目標をスタッフそれぞれに出してもらっていますが、仕事に限らず、プライベートにおいても目標を設定して欲しいと思っていますし、スタッフたちにもそのことが浸透してきていると感じます。
自分が求める結果を明確にする習慣がスタッフ一人ひとりの人間力の向上に繋がり、それは、梅華会の発展にとって欠くことができません。同時に、それぞれが自分の人生を100%幸せに生きることに繋がっていくと信じています。
⇒次回は「43.クリニックに相応しいスタッフになってもらうために番外編」
※2018年に執筆したコラムに加筆修正をしたものですので、現在は取り組んでいない運営方法・研修・教育方法などもござます。
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