23.スタッフへの理念教育

■ 採用時の理念教育

私はスタッフ採用の際には、院長そしてクリニック、あるいは法人の理念を共有し得る人材を採用すべきとお話ししてきました。そういったスタッフを採用後、梅華会が丸一日かけて行うのが理念教育です。
募集・採用の際に私や法人の理念は十分伝えてあるつもりですが、再度、採用時に理念教育という名目でベクトル合わせを行っています。ベクトルとは、法人として皆で向かっていく理念や価値観の向きのことです。ベクトルの向きが違えば、いくら一生懸命仕事に取り組んでも成果が上がりません。そればかりか、最悪の場合はベクトルの向きが逆ならマイナスにもなり得ます。そこで、採用時にまず初めに行うのがこの理念教育なのです。

採用時の理念教育

■ 梅華会の50の哲学

採用されたスタッフは、採用試験を通してある程度の適正はクリアしている人材です。
しかしいくら試験の成績が良くても、適性試験の結果が良くても、面接の質疑応答が完璧でも、クリニックの理念を真に理解していないと、本人と従来から勤めるスタッフたちとの間ですれ違いが起こる可能性が高いのではないだろうかと考えます。
理念教育で使っているのは、「梅華通信」を通して纏められた梅華会の50の哲学です。50のテーマはクリニックの現状と紐づけて、「なぜそのような哲学が必要なのか?」「なぜそのような考え方が必要なのか?」をスタッフ皆で考えることで、法人のミッション・ビジョンにより早く到達できるような内容を選び抜きました。「梅華通信」2013年1月1日号から、週に1回の割合で文章にして掲載しました。自分が大事だと思うテーマに沿って書き続けたことが、梅華会の風土・文化としてクリニックの理念の基礎となったと感じています。ちなみにこの50のテーマの内容は、梅華会ホームページの理事長のブログの中でも定期的にアップしていますので、ご興味のある方は御覧ください。
さて、理念教育に話は戻りますが、50の哲学には両親を大切にしようとか、チームメンバーと仲良くしようとか、感謝する気持ちを忘れず大切にしようとか、本当に当たり前、小学生の道徳教育で話されるような内容だけれど、事前にしっかりと確認し肝に銘じて欲しいことが並べられています。「凡事徹底:その道を極めて行こうと思えば凡事を徹底する=当たり前のことを人が真似できないくらい徹底して行う」というマスタリーの言葉があります。マスタリーとは、その道を極めた人のことで、彼らはいずれも基本中の基本を飽きずに懲りずに徹底的に行い続ける、繰り返し反復する人たちなのだと思います。

私たち梅華会でも、機会があるごとに理念教育を繰り返し、ことあるごとに行っているつもりですし、これからも何度でも伝え続けていきたいと思っています。特に、新卒採用で入ってきたスタッフには、入職当初から何度も伝え続ける必要があると思っています。社会に出たばかりのスタッフのキャンバスは真っさら、そのキャンバスはいかようにも染めることができます。その真っさらなキャンパスに私の、梅華会の想いをぶつけることを大切にしています。

華会の50の哲学

■ 共に育つ

また、理念教育は、教える或るいは、育てるために行うことではありますが、私も共に育つ場ともしたいとも考えています。かの有名な松下村塾の吉田松陰も「共に育つ」と説いていました。お互い考えながら、お互い刺激し合いながら、共に育っていく環境を大切にしたいと思っています。実際、私にとっても20歳近く年下のスタッフから学ぶこともたくさんありますし、その行動に触れて人として感じ入ることもたくさんあります。最近では、理念教育が法人の理念の再確認の場であるとともに、さらに深く理念を落とし込む場にもなっています。
ベテランスタッフであっても、新人スタッフであっても、お互いが常に学び合う場を持って、一人ひとりが自分で考えて、自分で行動起こす……そういう主体性のある人間に育っていってほしいと希望しています。

共に育つ

⇒次回は「24.出入りの業者さんとの接し方」
※2017年に執筆開始をしたコラムに加筆修正をしたものです。

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