■実りあるミーティングできていますか?
チームで仕事をするとしたら、必ずと言っていいほど行われているのがミーティングです。
それは、クリニックでも例外ではありません。近頃、発展する企業の会議の在り方はトップダウン型ではなくボトムアップ型だと言われていますが、クリニックでも同様のことが言えるでしょう。
皆さんのクリニックのミーティングは、院長が言いたいことを一方的に伝え、スタッフは下を向いて、ただただジッと聞いているなんていうことはないでしょうか?原因は色々あるでしょうが、スタッフが「院長にこんなこと言っても聞いてくれないだろうなぁ…」「院長の話はつまらなくて全然興味が湧かないなぁ…」なんて思っていたりはしないでしょうか?また、院長とスタッフのクリニックに対する想い入れのギャップはないでしょうか?想い入れの大きさや目線・感覚の違いなどがあって、ミーティングが実りのないものになっているケースが多いのではないかと考えます。
梅華会でも開業当初からミーティングなるものを定期的に行っていました。しかし開業当時のミーティングは、厳密に言えば真の意味のミーティングではなく、院長の伝達事項を私が一方的に伝えるだけのものでした。今にして思えば、一方的に伝えるだけなら貴重な時間を使わずに、紙に書いて渡しても事足りました。
■会議は収束と拡散
「会議は収束と拡散」と言われることがあります。たくさんの意見を皆で出し合い、意見の交換を行って、皆で同じ方向に向かえるような「収束」と、他から出た考えやアイデアでお互いを刺激し合う「拡散」が同時に行われるようでなければなりません。その言葉に自分の考えが至るにつれ、本当の意味のミーティングにするための方法を考えました。そして、自分自身の発言をどんどん減らして必要最小限にし、代わりにスタッフに自由に話をしてもらい、皆が意見を出し合う場にするように心がけました。
とはいえ、ある日突然「はい、自分の意見を言ってください」と振られても、スタッフは困惑するでしょう。そこで、まずは簡単な質問を投げかけて応えてもらうように仕向けました。そして、その質問に回答したスタッフの意見に対して、皆が敬意をもって傾聴し、感謝こそすれ否定的な言動は取らないことを梅華会での約束としました。その約束「良い会議を作る4カ条」は以下です。
- ①発言に対してリアクションをしよう
- ②全員が集まる限られた時間の中で、今自分が何をすべきか考えよう
- ③話している人の目を見て会議に参加しよう
- ④相手の意見を否定せず、まずは受け入れよう
これを明示し、常に皆で共有しています。
その結果、今ではこれが梅華会の文化・風土となり、誰も気負うことなく自由闊達に意見を出し合っています。私の今後の目標としているところは、私が一切発言することなく、皆が自由に自分の意見を出した時、誰かが私の代弁者となって法人の理念に沿った考えを出し、行動に移してくれる状態となることです。そこまで来て、クリニックの理念がチームに浸透していると言えると思っています。
以上は、ミーティングに対する基本姿勢についてでしたが、具体的な方法として、司会をスタッフに任せることから始めてください。そして、院長は自分の発言を極力控え、皆の意見を聞き、発言を承認し賞賛することを繰り返してください。そうすることで、ミーティングでスタッフ全員が発言する文化・風土が徐々に根付いてきます。
■振り返りの大切さ
また、ミーティングの際は、必ず前月のミーティングの振り返りを行うことが大切です。一度ミーティングで決めたことでも、忙しさにかまけてついおざなりになって、実行に移されていないとしたら、前回のミーティングは何のために行われたのか分からなくなってしまいます。例えば、前月のミーティングでトイレ清掃の点検は午前と午後の2回行うと決めたのであれば、それが実際に実行されているかを今月にチェックする必要があります。
ミーティングの中に、振り返りを行う時間を設けると、例えば、実行してみての不都合が出てくる場合があります。一度のミーティングで100%の案が出るとは限らないのです。いえ、ほとんどが100%満足の案ではないと言えるでしょう。そうしたら、実行してみて分かった不都合をどのように解決したらよいかについて、また皆で意見を出し合うのです。
これを俗にP(plan)D(do)C(check)A(act)サイクルを回すと言います。
実は、このサイクルをうまく循環させるには、50%のものをいかに100%に近づけていくかという、各スタッフの行う努力やプロセスが重要なのです。
こう考えていくと、ミーティングの本当の姿は、さまざまな問題の解決ではなく、チーム全体のPDCAを回す力の向上を図るためのものとも言えるのではないでしょうか。
⇒次回は「14.院内SNS」
※2017年に執筆開始をしたコラムに加筆修正をしたものです。
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