59. 2度目の砂漠マラソン挑戦

 皆さんがこのコラムを読まれている頃、私はチリのアタカマ砂漠を走っているのではないかと想像しています。MAFに興味を持ってくださる皆さんには、クリニックをどう運営したら成果が出るか‥とか、自分や家族のための時間を作るには自主性のあるスタッフを育成する必要がある‥とか、今まで仕事の話ばかりしてきましたが、今回は私の趣味の一つ、マラソンのことをお話ししたいと思っています。何しろ、今はこれから走るアタカマ砂漠250キロマラソンのことで頭はいっぱいなのですから(笑)
 

 皆さんはすでにご存知かもしれませんが、私は昨年(2017年)ゴビ砂漠250キロマラソンを完走しました。ゴビ砂漠250キロを完走するというとてつもなく無謀なレースに挑戦することになった経緯をお話しすると、2016年に島根半島の東端にある美保神社(商売繁盛の神様)から、西端にある出雲大社(縁結びの神様)まで約100キロを走る「えびす・だいこくウルトラマラソン」に出場したことに始まります。そのころフルマラソン42.195キロを何回か完走していた私は、自分の限界に挑戦してみたいとの思いから、周囲の人々に今度はウルトラマラソンを完走する‥とちょっとしたはずみで公言してしまいました。公言してしまった以上走りきらないとならないので、とにかく参加し無事走り切ったのですが、走り終わったとき、頭に浮かんだのが「自分の限界はもっと先にあるのではないか」「もっと過酷なレースにチャレンジしてみたい」という想いでした。

 そんなとき、ある経営者同士の集まりで8人の方々と会食する機会があったのですが、話しているうちに偶然にも全員がランニングを趣味(趣味以上かもしれません)とし、そのうちの4人がすでに砂漠マラソンに出場されていることが分かりました。そして、砂漠マラソンとは1週間で250キロ、主に砂漠を走路にしつつも、岩場や河川敷、草原などの道なき道を旗を目印に走るというのです。しかも、運営側からは水、お湯、宿泊用のテントが支給されるのみで、食料や着替え、寝袋など10キロ以上の荷物を背負って走るとのこと、まさに、その頃思っていたウルトラマラソンより過酷なレースです。その場でのみんなの話が盛り上がったことと相まって私は砂漠マラソンに出場することをその場で決めました。しかも、なんと、出場経験のない4人全員がその場の勢いで出場を決めたのです。
 皆さんは、砂漠マラソンレースというのをご存知でしたか? 現在、有名な砂漠マラソンは、世界4大砂漠レース「4 Deserts」と呼ばれている4つの砂漠マラソンレースです。もとはサハラ砂漠を走っていたのですが、今は中東情勢が悪化しているので代わりにナミビア砂漠を走るSahara Race、昨年私が走ったGobi Merch、今年私が挑戦するAtakama Crossing、そして以上3レースのうちのいずれか2つを完走した人だけが南極を走れるThe Last Desertの4つです。そして、この4つすべてを完走することをグランドスラムと呼んでいます。

 この4つのレースはいずれも距離は250キロ、運営側からは水、お湯が支給され、1日ごとの走行距離が決まっています。そして、その日の行程を走る終わるとそこにはテントが設営されていて、明日の出発まで休息をとることになります。ですから、早い人も遅い人も同じ地点で寝ます。ただし、5時間くらいでその日の走路を走り切った人はゆっくり休んで翌日に備えることができるけれど、遅かった人はスタート時間までの余裕がなくなる‥という具合です。それでも、そこでは何となく仲間意識と言いますか、特に同じ日本からの参加者とは情報を交換したり、友情も芽生えて、これがこのレースの魅力の一つとも言えるのではないでしょうか。

 昨年、ゴビ砂漠を完走して私は足のマメと最終日の脱水症に悩まされました。足のマメは、針で穴をあけて水を抜き、消毒をする‥で何とか凌ぎましたが、底の薄い通常のランニングシューズは砂漠マラソンには向かないことが分かりました。脱水症は、最終日、肩に相当負担がかかっていたので、少しでも担ぐ荷物を軽くしたいとの思いで、携行する水を減らしましたが、それはNGであることが分かりました。今年は、その反省を基に、食料も軽いオートミールに変更するなど担ぐ荷物の総重量を減らして、3000メートルを超える高地から出発するチリのアタカマ砂漠250キロ完走を目指してきます。たぶん、その先にはグランドスラム、4大砂漠マラソン制覇が見えるのではないかと思っています。

 

 こうやって、自分の限界に挑戦し続けることができるのも、クリニックを空けることができる組織づくりができたからです。留守を預かってくれる梅華会のスタッフたちにも、快く送り出してくれる妻にも、遠くから応援してくれる子どもたちにも、感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、このコラムを読む皆さんにもクリニックのしっかりとした組織づくりを行って、何であれご自分の限界に挑戦するというこのワクワク感を味わってほしいと心から思っています。

4Desertsオフィシャルサイトはこちら

https://www.4deserts.com/